›11 08, 2006

ライブハウスを出でよ(下)

Category: miya-aki , 考察 , Music / 0 Comments: Post / View

前回言いたかった事をまとめると、要するにこのバンド業界のおもんなさは、全てシステム化された土台の上でしか転がっていない事が原因じゃないか、ということだ。
みんな用意されたレールの上を渡ることしか考えず、なおかつそれが環状線であることに誰も気づかない。

このシステムの中心に位置しているだろうライブハウス、全てのライブハウスがそうだとは言わないが、これがまたほんましょーもない。
まず数が多い。
このライブハウスのほとんどは、アマチュアやインディーズを出演対象とした小規模のハコなのだ。
この有象無象のライブハウスの主な収入源は、出演者から徴収する「ノルマ」である。

どういうシステムか簡単に説明しよう。
あるバンドがライブハウスのブッキングによってあるイベントに出演が決まったとしよう。
その時にバンドに課せられるのがチケット売り上げのノルマである。
バンドはそのノルマを達成しなければならない。
ノルマを達成できなければ、差し引きで足りない分を自腹で払わなければならないのだ。
その日のチケットの前売りの代金が1500円で、その日のノルマが10枚だったとすれば、バンドは1500円*10=15000円をライブハウス側に保障すると言うわけだ。
じゃあ10枚以上売り上げれば自分らの懐にお金が入るんですね、と思いがちだがここにも落とし穴がある。
ノルマ以上の売り上げは100%バックではない場合がほとんどで、ノルマとバック発生までの枚数に差があるなんてこともざらだ。
チャージ分だけでは足らないと言うわけだ。

このシステムは、はなっからバンドに「客なんて呼べないんでしょ?」って言ってるのと同じで、完全にバンドを商売の対象としてしか見ていないのではないか?
もちろんライブハウスも商売でやっているのでこれはあながち間違いではない。
バンドが金を保障しているのだから、ライブハウスからみればバンドはある意味客であるという図式が成り立つ。
しかし、金を払っているのにもかかわらず「ノルマ未達成」というこの申し訳無ささは一体なんだ?
さらに何でブッキングマネージャーにうんちくたれられなければならないのか?
バンドがあなた達にお金を保障してるからこそ、あなた達は食えているんでしょ?
なんかおかしくない?
お金取って、わけ分からんブッキングして、なおかつ偉そうなのは何でなん?
そこまで偉そうな態度取るからには、あなた達もさぞかしお客を呼ぶ努力をしてるんですよね?
さぞかしその日のイベントに自信があるんですよね??

何もしねえんだったら初めから「機材使用料」という名目で金を徴収してれば良いのに。
何すか「ノルマ」って。
っていう事をキャリア20年以上、海外での活動現在も著しい、ジムオルークとは飲み友達だという某酸母寺の先輩方に聞いてみたところ、

「あー、あれは10年くらい前に東京の何とかってハコが始めたらしいよ。
それがすげえおいしいってんでそこらじゅうのハコが真似し始めたんやね。
これっておかしいよな、立場完全に逆やし。
俺らの若い頃はそんなん無かったけど、チケット売り上げはその日のギャラにも関係してくるし、俺ら必死でチケット売ったもんやけどなー。
あ、そうそう。
ガーリックボーイズのラリーって知ってる?
あの頃俺あいつとバンドやっててんけど、あいつギター上手かったわー。」

とのこと…。

まあそもそもこのシステムにへいこら乗っかる奴らがいるからこそ、こういう商売が成り立つんやけどね。
そりゃハコの数も増えるわけですよ。
まあ確かに楽やわな。
金払うだけで、後はなーんも考えなくて良い。
ステージさえ上がってりゃミュージシャン気取れるしね。

でもさあ。

ハコのブッキングでライブ決まって、興味もないバンドとタイバンで、客も一人も入らず、ブッキングマネージャーの営業トークにおだてられ、金払ってお疲れ様。
その日に一体何の意味があんの?
君はその日にライブをホントにやりたかったの?
大してやりたくも無いのに、営業にかけられるままはいはい金払って、ほんとバカなんじゃないの?
バカだからライブハウスになめられるんじゃないの?

もっと自分達でイベント組めよ。
ライブをしたい!と思ったその時に。
ハコを借り切って、自分達で呼ぶバンド、集客、ギャラ、打ち上げ、その他もろもろ考えて、そのほうが意味あるでしょう?
タイバン同士意味のある交流が出来るでしょう?

バカ相手に商売するからライブハウスもバカになる。
バカから金をかすめとることしか考えず、自分の足を使って売り上げを上げる努力を何もしないから、結局経営に行き詰る。
それも全部人のせい。
金づるのバンドを他のハコに取られただの、客を取られただの、あのハコのスタッフがムカつくだの、あーだこーだ文句ばっかり。
数だけ増えくさってお互い潰しあってみんな共倒れ。
この繰り返し。
くだらない。
他のハコと同じ事しかやってないのに、どうして自分とこだけ生き残れると思うのよ?

ほんとしょーもない。
みんなやってること一緒。
ハコもバンドも。

音楽で食っていく?
古い。
東京進出?
古い古い。

「地元も仕切れず何歌う気だ」 by BOSS THE MC
ネイティブでもないのに英語で歌う”オリジナル(風)”ミーハーバンド。
音に感情をのせる事の出来ないエセミュージシャン。
ほら、CD売れないだろ?
受け手はみんな心のどこかで気付いてんだよ、中身の無さに。

バカを相手に大もうけのインディーレーベル。
既得利権にしがみつき、音楽を冒涜し続けるレコード会社、広告代理店、JASRAC。
必要ない。

全てのバンドマン達に言おう。
目を覚ませ。
自ら何も成してないことに気付き、それを恥じろ。

自らを表現できる場所はライブハウスだけじゃない。
何かを伝えるのに、そんな立派な設備が必要か?
さあ考えろ。


「ライブハウスを出でよ」


ほら、空はこんなにも広大だ。

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