›11 06, 2006

ライブハウスを出でよ(上)

Category: miya-aki , 考察 , Music / 0 Comments: Post / View

こんばんは。
ukwai.氏がこのエントリーに寄せてくださったコメント、とてもナイスな考察を挙げてはると思う。
なので今日はその返答もかねて「バンド」について書きます。

個人的に今のバンドシーン、すげえしょーもないと思う。
学生時代から「あれ?」と思うことはあったのだが、業界で働くようになってその思いはさらに強くなった。
なぜこんなしょーもないのか。

まず挙げられるのは「バンド」を取り巻く環境があまりにも商業的にシステム化され過ぎたことだと思う。
80年代後半から90年代にかけての第二次バンドブームの頃、様々な会社がこぞってライブハウスやリハーサルスタジオをたちあげた。
この流れはバンドブームに拍車をかけ、楽器とメンバーさえ揃えば誰でもバンドを始められる、という土台を作った。
金さえ払えばなんでも揃うし、めんどくさいことは誰かがやってくれる。
初心者・アマチュアは増大、誰もアンプやマイク、ミキサーを買わなくなり、結果、機材の使い方もろくに分からない機材レンタルミュージシャンが登場することになった。
ゲインとボリュームの違いも分からない自称ギタリスト達も多く、そんな彼らはukwai.氏も挙げていたローランド「JC-120」を愛用する。
ボリュームを上げるだけで音が出るからだ。
楽器機材としては画期的過ぎるが、おそらくゲイン固定なだけだと思われる。
要するにCDプレイヤーなどをつなぐアンプと仕組みはほぼ同じってこと。
なので、ボリュームを上げても歪まない。
そして歪みをコンパクトエフェクターで作ろうとする。
オーバードライブとディストーションの違いも分からずに。
コレに慣れてしまったギタリストは、当然JCしか使えなくなる。

ここで付け足しておきたいのだけど、同じレンタルミュージシャンでも「どんな機材でも使いこなせますよ」というのと「ジャズコ無いと困りますぅ」というのとでは大きく違う。
あえてJCを使っているのと、JCしか使えないのとでは全然違うということを言っておきたい。
俺が言及しているのは「後者」が増えすぎているということだ。

ゲインの意味も分からないギタリストは時々意味不明な行動を取る。
「うわーハウってるわー」
と言いながらなぜかボリュームを下げる。
ここまではまだ良い。
「うわーハウってるわー。シールド悪いんじゃね?」
と言いながらシールドを替える。
これはもう笑うしかない。
どこの世界にそんなシールドがあると言うのか。

そもそもこんな猫も杓子も歪みなさい的な音楽シーンにも問題がある。
ある程度歪ませているということは、コンプレッサーをバキバキにかけているのと同じであり、これは楽器の演奏の上達を大きく阻害すると思う。
実際、何でこんなに下手なんだと怒りたくなるようなアマチュアが、平気な顔で連日舞台に上がっている。
オリジナルやる前にまずコピーを100曲やってこい!と言いたい。
アマチュアだろうが趣味でやってようが、客から金取ってるんならせめて一所懸命やってください。
情熱を魅せてください。
楽しければいいじゃんって、それ友達同士じゃないと通用しないよ。

機材の扱い方、仕組みを分かってないのはボーカルにも言える。
まずマイクの持ち方。
マイクのグリル部分(先っぽの丸いネットの部分ね)を握りこむやつが多すぎる。
もともとSM58(ボーカルマイクで使われる最もスタンダードな機種)はハウリングしにくい構造をグリル部分に採用しているのに、そこを握りこんでしまっては元も子も無い。
そりゃハウりますよ。
その持ち方はカッコいいの?テレビで誰かやってたん??
あと、フットモニターに平気でマイクを向けるやつ。
だからハウるっちゅーのに!!
ああああああもうっ!!
ほんまにいい声聴かせたかったら、マイクをちゃんと持ってマイクに向かってまっすぐ歌え!!
指向性ってもん知らんのか!?

次!
ベーシスト!
なんでD.I.通してるのか分かってる?
ラインから直で音出してんだから勝手にシールド抜くなぁ!!!
っていうかサンズアンプかませばいいと思ってるの?
それ、ほんまに必要??
D.I.の前にかませられると音作りにくいんですが…。

ほんでドラム!
しっかり叩け!!
アコースティック楽器の君にはコレしかいうことが無い。

機材の仕組みも分からないエセミュージシャンが、本当にリアルな音を出せるわけ無い。
表面だけの薄っぺらい音楽。
こんなもん芸術でもなんでもない。
努力も下積みも経験も無しで出来上がったもんなんか、俺は認めない。
こんな”自称”ミュージシャンを大量生産してきたのは、金さえ払えば機材もハコも何でも借りられるというクソッタレな土台を作った日本の音楽業界だ。
甘やかされて音楽をやってこれたお坊っちゃん、お嬢ちゃんたちはこのシステムにどっぷり浸かり、自分の頭で考えることをやめる。

「すいません…音出ないんですけど…。」
だから何やねん!?
俺のせいか!?
アンプから音が出ないんやったら、まず、シールドをつなぎ替え、ギターかシールドかエフェクターかアンプか、どこが悪いのか原因を自分で突き止めて、それでもらちがあかんかったらその旨を俺に伝えろ!
自分でできる範囲のことは自分でやらんかい!
アンプの使い方がわからんのやったら「使い方教えて」と言えよ!
俺は君の友達じゃないし、ましてやエスパーでもないねんからコミュニケーションにも頭使え!!

こういったお坊っちゃん、お嬢ちゃんたちはあげくの果てに、自分達のライブの出来の悪さをPAオペレーターのせいにしたり、機材のせいにしたり、はたまた照明のせいにしたりする。
自分達の努力、練習量の足りなさを棚に上げて。

このシステマティックな土台の中枢を担っているのは、なんと言っても「ライブハウス」だろう。
そしてこの十年で確立された凶悪なシステムが「ノルマ制」である。
これについては次回、大いに語ろうと思う。

Comments
Post a comment












Remember personal info?